値引きの見せ方、5つの型

「安くなっています」と伝える書き方には、引っかかりやすい型が5つあります。5つ目は、打ち消し線も「通常価格」も使いません。

自分のページに同じ型が無いかを、スマホだけで探せる形にしました。値段は1円も下げずに直せます。

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このページをつくった理由
「二重価格はやめましょう」と配っている私たち自身が、自分の公開ページで9日間同じことをしていました。

2026年8月9日に見つけたことです。自社の料金欄が 「¥4,980(打ち消し線)→ ¥3,000」 になっていました。ところが、その ¥4,980 で実際に売った記録が1件もありませんでした。

さらに、目で探したときは3件でした。同じ日に機械で数え直したら9件ありました。増えた分のほとんどが、下の型5です。打ち消し線も「通常価格」も矢印も%OFFも使っていないので、探す側の目にも、私たちが最初につくった検査にも、まるごと素通りしていました。

失敗を伏せてルールだけ配るのは、私たちのやり方ではありません。見落とした型を、そのまま手順にして置いておきます。

5つの型(タップでチェックが付きます)

自分のホームページ・チラシ・予約サイト・SNSのプロフィールを見ながら、当てはまるものにチェックしてください。チェックが付いた=違反、ではありません。「あとで根拠を聞かれる場所」という印です。

0 / 5 の型を確認しました 0% 前回の点検:まだ記録がありません
型 1
高いほうの値段に、打ち消し線が引いてある
¥4,980 ¥3,000
見つけ方:値段のまわりを見ます。線は細いので、スマホの拡大で一度見てください。制作ツールの「取り消し線」ボタンで付けたものも、CSSで付けたものも同じ扱いです。
いちばん多い型です。線を引いた側の値段は、読む人には「前はこの値段で売っていた」と読まれます。そう読まれてよいだけの販売実績があるかが、あとから問われます。
型 2
「通常価格」「定価」「メーカー希望小売価格」などの言葉と、金額が並んでいる
通常価格 ¥12,000 のところ ¥7,800
見つけ方:下のボタンの言葉を、ページ内検索で1語ずつ探します。1語ずつで構いません。出たところだけ見に行きます。
言葉があるぶん、型1よりはっきりしています。注意したいのは「通常価格」が誰の通常なのかです。自分の店で売ったことのない金額や、他店の相場を「通常価格」と書くと、読む人の受け取り方と実態がずれます
型 3
矢印で、高い値段から安い値段へ並べている
¥9,900 → ¥6,800
見つけ方:「→」「⇒」「▶」のほか、画像の中に矢印が描いてある場合もあります。画像の中の文字は、ページ内検索では出ません。目で1回見てください。
言葉を1つも使っていないので、書いた本人は「値引きの表示をした」つもりがありません。それでも読む人には値引きに見えます。見え方のほうが基準になります。
型 4
「30%OFF」「半額」「1,000円引き」のように、割引の幅だけ書いている
初回 70%OFF
見つけ方:「OFF」「%」「引き」「半額」「割引」で検索します。バナーやクーポン画像の中にもよく入っています。
元の値段を書いていないので安全に見えますが、「何かから30%引いた」と言っていることは同じです。その「何か」を聞かれたときに答えられるなら問題ありません。答えられないなら、この1行がいちばん説明しにくい場所になります。
型 5 ← 私たちが最後まで気づけなかった型
高いほうの値段を、薄く・小さく置いている
2回目以降 3,582円
1,980円
見つけ方:検索では出ません。言葉を使っていないからです。スマホを目から離して、ページをぼんやり眺めてください。そのとき最初に目に入った数字が、いちばん安い数字だったら、この型です。
打ち消し線も「通常価格」も矢印も%OFFも使いません。濃さと大きさだけで、安いほうを本体の値段に見せます。書いてある内容は正しいのに、受け取られ方だけがずれるという、いちばん見つけにくい形です。私たちも、機械で数え直すまで見えていませんでした。

型2・型4を探すときの言葉(タップでコピーできます)

なぜ、ここが問われるのか

景品表示法は、実際よりも取引の条件が著しく有利だと見せる表示を問題にしています(同法第5条第2号。有利誤認表示)。値引きの表示そのものが禁じられているわけではありません。

問われるのは、比べる相手として出した値段(比較対照価格)が、何を指しているのかです。消費者庁は「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(価格表示ガイドライン)で、同じ商品の過去の販売価格を比較対照価格に用いる場合は、その価格が「最近相当期間にわたって販売されていた価格」といえるかどうかで見る、という考え方を示しています。

2026年8月25日の追記|ここは、前に書いていたことを直しました。

このページは以前、「その価格で実際に販売されていた実績が必要」と書いていました。原文にあたったところ、ここは正確ではありませんでした。ガイドラインは「販売されていた」とは、事業者が通常の販売活動において当該商品を販売していたことをいい、実際に消費者に購入された実績のあることまでは必要ではないとしています。

つまり「1件も売れなかった」こと自体は、問題ではありません。問題になるのは、その値段で普通に売り場に出していた期間があったかどうかです。原文は続けて、比較対照価格にするための実績づくりとして一時的にその値段を付けていたとみられる場合は「販売されていた」とはみられないとも書いています。

いちばん危ないかたち:その値段で一度も売り場に出していないのに、消して安く見せる。
→ 私たちがやっていたのがこれです。比べる相手が、はじめから存在していませんでした。

「最近相当期間」は、8週間と2週間で見ます

前に書けなかった数字です。ガイドラインの本文には、判断のしかたがこう書かれています。要約せず、条件のまま並べます。

見るところガイドラインの書き方
いつまでさかのぼるかセール開始時点からさかのぼる8週間について検討します。その商品を売っていた期間が8週間より短ければ、その期間について検討します
合格の線その8週間のうち、その値段で売っていた期間が過半を占めているなら、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とみてよい
例外 1例外に当たると、上の「合格の線」を満たしていても駄目です。その値段で売っていた期間が通算して2週間に満たないとき
例外 2その値段で最後に売った日から2週間以上たっているとき
期間は続いていなくてよい「相当期間」は連続した期間に限りません。とびとびにセールをしている場合は、その値段で売っていた期間を全体としてみて評価します
お店の言葉に置き換えると、こうです。

「¥4,980 → ¥3,000」と出したいなら、その日から前へ8週間さかのぼって、¥4,980で売っていた日が半分より多いこと。さらに¥4,980だった期間が合計2週間以上あること。そして¥4,980で最後に売った日から2週間以内であること。この3つが揃っていれば書けます。揃わないなら、値段を1本だけ書いてください。

セールを決めてから売り始めた商品は、期間を正しく書いても駄目です

ここは見落としやすいところです。ガイドラインは、セール実施を決めたあとに販売を開始した商品について、こう書いています。販売開始の時点でセール価格がすでに決まっている以上、その前の値段は実績づくりのものとみられるため、セール前価格で売っていた期間を正確に表示したとしても、不当表示に該当するおそれがある

新メニューを出すときに「まず高い値段で2週間出しておいて、それから割引にする」という段取りは、この文にそのまま当たります。期間を守れば通る、という話ではありません。

「いずれ値上げします」も、同じ扱いになります

将来の値段を比べる相手にする書き方(「今だけ¥9,800。来月から¥19,800になります」)についても、ガイドラインに項があります。将来の販売価格が十分な根拠のあるものでないとき——実際には販売することのない価格であるときや、ごく短期間だけその価格で売るにすぎないときなど——は、不当表示に当たるおそれがあるとされています。

そのうえで、将来の価格は需給で動くものだから、その価格で売ることが確かな場合以外は、将来の販売価格を用いた二重価格表示は適切でないとまで書かれています。この型は、上の5つの型より厳しく見られます。

逆に、これは通常は問題になりません。

一定の営業時間だけ値下げする、生鮮食料品などで売れ残りを避けるため閉店前に値下げする——こうしたタイムサービスで、当初の表示価格を比べる相手にする二重価格表示は、通常は不当表示に該当するおそれはないとされています。

ガイドラインに載っている事例

原文には、こういう例が挙げられています。金額の大きさではなく、書いた値段と実際の値段がずれていることが問われています。

事例

衣料品店が「紳士スーツ 当店通常価格58,000円の品 40,000円」と表示しているが、実際には同じ商品を通常45,000円で販売しているとき。

スーパーが「*印は当店通常価格 マーガリン*498円 258円」と表示しているが、実際には同じ商品を通常338円で販売しているとき。

逆に言えば、本当にその値段で売っていた期間があるなら、書いて構いません。困るのは「なんとなく高く見せた数字」を置いてしまったときだけです。

出典:不当景品類及び不当表示防止法 第5条第2号(有利誤認表示)/消費者庁「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(価格表示ガイドライン。平成12年6月30日公正取引委員会/平成26年12月1日消費者庁一部改定)第4の2。
2026年8月10日の時点では、この期間の数字を書いていませんでした。ガイドライン本文の原文を機械で読み取れず、一次で確認できていなかったためです。2026年8月25日に原文(PDF全18ページ)を読み取れたので、そのまま書き入れました。あわせて、原文と食い違っていた1行(販売実績のところ)も直しています。URLは下の出典欄にあります。

直し方は「値段を下げる」ではありません

私たちが実際にやった直し方を、そのまま置いておきます。どれも金額は1円も動かしていません。変えたのは見せ方だけです。

直す前直したあと
型1¥4,980 ¥3,000¥3,000(一本だけ書く)
型2通常価格 ¥4,980 → ¥3,480都度購入の場合は ¥4,980(税込)(比べる言葉をやめ、条件の説明にする)
型4初回 70%OFF初回 2,380円(2回目以降 6,368円)(割合ではなく、実際に払う金額を両方書く)
型52回目以降 3,582円 の下に大きく 1,980円同じ大きさ・同じ濃さで並べる(金額は消さない)
ここだけは間違えないでください。
  • 金額を隠すのは、直したことになりません。「2回目以降いくらか」は、お客様がいちばん知りたい情報です。消すとかえって不親切になります。
  • 直すのは大きさと濃さです。同じ大きさで並べれば、それは値引きの表示ではなく料金の説明になります。
  • 売上は落ちません。元の値段を信じていない人が、その1行で決めていることはほとんどありません。

このページにできること・できないこと

できること:自分のページに説明を求められうる箇所があるかどうかを、5分・スマホだけで洗い出すこと。チェックした日がこの端末に残ります。
できないこと:合法・違法の判定。ここに書いてあるのは、自分で見つけるための手であって、行政の判断ではありません。個別の広告についての最終判断は、消費者庁・都道府県の窓口にご確認ください。

あわせて使うもの

いつ使うか使う道具
値段の見せ方を決めるとき(このページ)5つの型のセルフチェック
文章を書くとき文章を貼って調べる業種別ガイド(接骨院・整体・エステ・歯科)
直したあと直したあとの5分点検(5手順)
店内で共有するとき3問診断+院内チェックシート10項目(印刷可)

出典(すべて一次情報)

このページの引用は、次の原文にあたって書いています。孫引きはしていません。8週間・2週間・過半という数字は、下のPDFの本文にそのまま書かれているものです。

ここに書いていないこと:個別の表示が違反に当たるかどうかは、表示全体を見て判断されます。ガイドラインにも「事業者の故意又は過失の有無は問題とされない」と書かれています。知らなかった、では通りません。最終的な判断は、消費者庁または都道府県の消費生活担当課にご確認ください。

その1行だけ、見てほしいとき

いま出しているチラシやホームページの値段まわりの一文を、そのまま送ってください。引っかかる可能性があるか、金額を下げずにどう書けば同じ意味で伝わるかを、1か所だけ無料でお返事します。営業のご連絡はしません。

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