「今だけ実質0円」が指摘されるのは、値引きしすぎだからではありません。期限を過ぎても同じ条件で受けられるなら、その「期限」の表示そのものが不当表示として扱われます。外壁塗装の広告に、実際に措置命令が出ています。条文と公表資料から説明します。
この記事は、次の5つの原文にあたって書いています。解説記事のまとめ直しではありません。
同じシリーズに カーコーティング・洗車の回、エステ・脱毛サロンの回、学習塾・家庭教師の回 があります。迷う場合は 業種別ガイドの一覧 から選べます。
リフォームでいちばん大きな事故は、広告の言葉ではなく契約した場所から起きます。特定商取引法の訪問販売は、営業所等以外の場所でした契約を指します。お客様のご自宅で見積書に署名をいただいた時点で、それは訪問販売です。
ここで多くのお店が誤解するのが、次の一点です。
適用除外の条文は、たしかにあります。特定商取引法第26条第6項第1号です。ただし対象になるのは、「その住居において売買契約若しくは役務提供契約の申込みをし又は売買契約若しくは役務提供契約を締結することを請求した者」です。消費者庁のQ&Aは、これをこう説明しています。
同じQ&Aには、もうひとつ重要な例が出ています。チラシに「鍵の修理3,000円〜」と書いてあるのを見て呼んだのに、実際には数万円を請求されたケースです。消費者庁は、この場合「消費者は、当初修理依頼をした段階では、安価なチラシの表示額で契約を締結する程度の意思」しか持っていなかったとして、適用除外にはあたらないという整理を示しています。
リフォームは、これとまったく同じ形になりやすい業種です。「無料点検」「無料診断」で呼ばれて伺い、その場で百万円単位の契約をする。お客様が呼んだという事実だけでは、除外にはなりません。
クーリング・オフの8日間は、契約した日からではなく法定の書面を受け取った日から数えます。書き漏れがあれば、その書面は法定書面として扱われません。つまり期間が始まらないので、半年後でも解除できる状態が続きます。
根拠=特定商取引法第4条・第5条および施行規則。ここは「うちは書式が古いままかもしれない」と思ったら、今日いちばんに確認する価値があります。
景品表示法 第5条第2号(有利誤認表示)
これは実例です。2025年9月22日、消費者庁は住宅の外壁塗装について、株式会社創建(大阪市中央区)に措置命令を出しました。自社ウェブサイト「創建ペイント」で、次のように表示していたものです。
問題になったのは、金額の大きさでも、値引きの深さでもありません。消費者庁はこう書いています。
つまり期限を切ったのに、その期限が実際には意味を持っていなかったという点です。「今申し込んだ人だけが得をする」と読ませておいて、実際は誰でも同じだった。これが取引条件についての有利誤認にあたるとされました。
景品表示法 第5条第2号(有利誤認表示)
「無料」と書くこと自体は禁止されていません。問題になるのは「何が無料で、何が有料なのか」が読み取れないときです。足場代を無料にしたぶんが塗装の単価に乗っているなら、それは値引きではありません。
また「通常価格30万円 → 今なら15万円」の形にする場合、比べる元の値段には実際にその価格で相当期間販売していた実績が要ります。作ったことのない定価を置くと二重価格表示になります。
値引きの見せ方は 値引きの見せ方、5つの型 に詳しく書いています。
景品表示法 第5条第2号(有利誤認表示)
住宅の省エネ改修などの補助制度は年度ごとに要件も上限も予算枠も変わります。そして多くの場合、予算に達した時点で受付が終わります。それを書かずに「使えます」と言い切ると、実際より有利だと読ませたことになります。
「必ず通ります」は、さらに踏み込んだ表現です。審査するのは制度の側であって、施工店ではありません。約束できないことを約束すると、特定商取引法の不実告知(第6条第1号)の問題にもなります。
この3つを先に書いておくと、契約後の「聞いていない」がほぼ無くなります。
特定商取引法 第6条(禁止行為)/景品表示法 第5条第2号
国民生活センターは2023年10月11日の発表で、「火災保険で工事できる」を屋根工事の点検商法の典型的な勧誘トークとして名指ししています。ここでの問題は、保険を使うこと自体ではありません。保険金が支払われるかどうかを決めるのは保険会社であって、施工店ではないという点です。
さらに踏み込んで、経年劣化による傷みを「風災による損害」として申請するよう勧めた場合、保険金の不正請求に加担することになります。これは広告表現の問題では済みません。
特定商取引法 第6条第1号・第2号(不実告知・故意の事実不告知)
国民生活センターに寄せられた屋根工事の点検商法の相談は、次のように増えています。
| 年度 | 屋根工事の点検商法の相談件数 | 点検商法全体に占める割合 |
|---|---|---|
| 2018年度 | 923件 | 16.2% |
| 2019年度 | 1,157件 | 20.1% |
| 2020年度 | 1,824件 | 26.0% |
| 2021年度 | 2,352件 | 31.6% |
| 2022年度 | 2,885件 | 35.4% |
| 2023年度(8月31日まで) | 1,346件 | 35.9% |
出典:国民生活センター「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています」(2023年10月11日)。同発表は、契約当事者の8割超が60歳以上であるとしています。
まじめに点検している業者ほど、この空気の巻き添えになります。だからこそ、言い方を変える価値があります。推測を断定に変えないこと。そして、その場で決めさせないこと。この2つだけです。
「今日中に決めていただかないと足場が組めません」は、この3つ全部に触れる可能性があります。
ここは他ではあまり書かれていない部分です。2022年6月22日、消費者庁は「訪問販売又は電話勧誘販売における住宅リフォーム工事の役務提供に係る過量販売規制に関する考え方」を新規に策定しました。同時に出された事業者向けのチラシに、判断の目安がはっきり書かれています。
過量販売にあたると、行政処分の対象になるだけでなく、お客様の側から契約を解除できます。しかもクーリング・オフの8日ではなく、契約から1年間です(特定商取引法第9条の2)。すでに工事が終わっていても解除されうる、という意味です。
消費者庁が示したチェックシートは、次の3問です。
1と2に「はい」で、3が「確認できない」ときに、過量販売に該当するおそれがある——という組み立てです。
お客様に完了報告として渡せば、そのまま信頼にもなります。守りの記録が、そのまま営業の材料になる数少ない例です。
9か月です。広告の文言を直すより、こちらのほうが事業には重く効きます。ホームページの直しと、訪問時の手順の見直しは、セットでやってください。
「許可を持っていないと工事をしてはいけないのでは」というご相談をよくいただきます。ここは条文がはっきりしています。軽微な建設工事だけを請け負う場合、建設業の許可は要りません(建設業法第3条第1項ただし書・建設業法施行令第1条の2)。
| 工事の区分 | 許可が要らない範囲(軽微な建設工事) |
|---|---|
| 建築一式工事 | 1件の請負代金が1,500万円(税込)未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事 |
| 建築一式工事以外(塗装・屋根・板金など) | 1件の請負代金が500万円(税込)未満 |
そのうえで、広告についてはこう考えてください。許可が無いことは、隠す必要のあることではありません。ただし「国の認定店」「公認業者」のような、実体のない肩書きを作らないでください。持っているなら、許可番号をそのまま書くのがいちばん強い書き方です。他店が真似できない事実だからです。
強い言葉を消すと、伝えたいことまで消えます。やることは、言い切りを事実に置き換えるだけです。リフォームは、置き換える材料がいちばん豊富な業種でもあります。施工前後の写真、使った塗料の製品名と缶数、施工面積、職人の人数と日数——手元にある事実のほうが、形容詞よりはるかに強く効きます。
迷ったときに、ここだけ見れば直せる形にしました。左をそのまま右に置き換えれば、伝えたい中身は残ります。
1〜8は 広告表現セルフチェック に文章を貼れば機械でも確認できます。9と10は機械では見つかりません。ここだけは人の目で見てください。
「言い切りを外したら、他社に埋もれてしまう」——よくいただくご心配です。リフォームに関しては、実際は逆になります。
「今だけ実質0円」は、どの業者でも書けます。だから読む人は身構えます。「認定されるかは保険会社の判断です」「本日お決めいただく必要はありません」は、その業者にしか書けません。この業種で不足しているのは強い言葉ではなく、疑われずに読んでもらえる書き方のほうです。
大阪市此花区のK's COAT LAB 様のページを、ホームページをお持ちでないところからお作りしました。言い切りの表現に頼らず、施工の中身と流れで伝える構成にしています。公開中のページをそのままご覧いただけます。
Q. 訪問販売はしていません。ホームページからの問い合わせだけです。それでもクーリング・オフはかかりますか?
A. 契約した場所によります。問い合わせがネット経由でも、ご自宅に伺って、その場で契約書に署名をいただけば訪問販売です。事務所(営業所)にお越しいただいて契約した場合は、訪問販売にはあたりません。迷う場合は、法定書面をお渡しするほうが安全です。渡して困ることはありません。
Q. 「期間限定」を毎月やっています。すぐやめるべきでしょうか?
A. やめる必要はありません。書き方を変えてください。毎月企画があること自体は問題ではありません。問題は「今月末で終わる」と読ませて終わらせないことです。「毎月の企画です。今月は◯◯、来月は内容が変わります」と書けば、同じ集客力を持たせたまま、期限の誤認は消えます。
Q. お客様が「保険で直せると聞いた」とおっしゃいます。どう答えれば安全ですか?
A. 「対象になることがあります。ただし、認定するのは保険会社です」までが、こちらから言える範囲です。認定されなかった場合のご負担額を、契約前に書面で示してください。これを先に出しておくと、あとで解約になっても揉めません。経年劣化を風災として申請することは、絶対にお手伝いしないでください。
Q. 同じお客様から続けて工事を頼まれました。断るべきでしょうか?
A. 断る必要はありません。消費者庁のチラシにも「工事が真に必要な場合には問題ありません」と明記されています。要るのは、必要だったと後から説明できる記録です。着工前後の写真と、必要性を書いた1行。それが残っていれば、累積3件目でも説明できます。
Q. 下請けとして入っている工事の広告は、元請けの責任ですか?
A. 表示の責任は、その広告を出した事業者にあります。元請けのチラシに書かれた文言について、下請けが景品表示法の措置命令を受けるわけではありません。ただし自社のホームページやSNSに、その文言をそのまま転載すれば、自社の表示になります。ここは分けて考えてください。
できること=いま出している文章と、訪問時の手順の中で、指摘されやすい箇所を見つけて、言い換えの案を示すことです。
できないこと=これは行政の判断そのものではありません。個別の広告・契約書面についての最終判断は、消費者庁・都道府県の景品表示法および特定商取引法の窓口、または弁護士にご確認ください。建設業の許可については、各都道府県の建設業許可担当窓口が正確です。
その1行だけ、見てほしいとき。いま出しているチラシやホームページの気になる一文をそのまま送ってください。引っかかる可能性があるか、どう言い換えれば同じ意味で伝わるかを、1か所だけ無料でお返事します。営業のご連絡はしません。
この表現、うちは大丈夫?と公式LINEで聞いてみる直すより、作り直したほうが早いこともあります。いま出しているページが古い基準のままだったり、直す場所が多すぎたりする場合です。その判断も含めて、いまLP制作を期間限定 12,000円でお受けしています。無理におすすめはしません。12,000円で収まるかどうかは、購入前にお伝えします。
期間限定 12,000円のLP制作を見る広告とは別に、社内の手間で止まっている場合。新人に同じ説明を、何回していますか?(社内研修の管理) もあります。職人さんや新しい営業担当への説明を、毎回1から繰り返さずに済ませる話です。